パルスボッツ株式会社に初めて新卒で入社した上田卓郎。なぜ新卒でこの会社を選んだのか、普段どんな仕事をしているのか――?その原点は、彼の一風変わった学生時代の経験にありました。今回は、彼の入社に至った経緯とこれからの展望に迫ります。

 

“自主性を持って自分らしく”生きようとインターナショナルスクールに転校

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▲英語を教えてくれた、インターナショナルスクール時代に仲が良かったカナダ人の先生

 

上田は、中学卒業後、私立の高校に進学しましたが、学校の方針と合わず、入学直後から悩みました。規律や協調性を重視するあまり、制約が多いと感じていたのです。

上田 「身に付けるものや所持していいものが全員同じ、というのはもちろんのこと、学生が興味を持っていることよりも、用意されているカリキュラムをこなすことが学校としては重要でした。自分が興味を持っていることをやりたい性格の私にとっては、満足できるものではありませんでした」

「このままこの学校にいて日々もどかしさを感じるまま、卒業まで3年間過ごすことになるのは少し違うのかな……」と1年生の夏前から上田は思いはじめます。

そんなときに、母親の勧めもあり、夏休みにハワイへ短期留学に行くことになったのです。

上田 「ハワイの語学学校で仲良くなった同年代の友達に、英語がペラペラに話せる人がいたんです。彼と話しているうちに、インターナショナルスクールに通っている人であることが分かって。そこで、『ああ、彼みたいに英語を喋りたい!』と強く思い、ハワイから帰国する前に、母親に『インターナショナルスクールに行きたいです』ってメールをしました」

いろいろ負担がかかるのも分かっているうえで、上田の気持ちをすぐに受け入れた上田の両親。そして、上田は高校を辞めることになったのです。

転校後は念願であった“自主性を持って自分らしく”過ごすことができましたが、そこには大きな壁もありました。

上田 「インターナショナルスクールに入ったけど、実用的に使える英語能力はなくて(笑)。小さい頃から英語が好きで、小学校のときには英会話に通わせてもらい、中高時代は英語の成績も良かったです。

でもインターナショナルスクールで授業に英語で参加するとなると話は別でした。入学当初は言いたいこともうまく言えず……。日本語ならもっと言いたいことを言えるのにって、毎日悔しかったです」

学校は日本語禁止で、環境の変化に適応するのが大変だったと振り返る上田。しかし、心のどこかで、この学校でやっていく自信を持っていました。

上田 「毎日、放課後には授業の課題論文を添削してもらうついでに、仲の良い先生にトークに付き合ってもらい、そこで英語力がかなり鍛えられたと思います。

中学生のときからお世話になっている家庭教師の先生には、転校した後も学校の宿題などを助けてもらい、同時に高卒認定試験の勉強もしていました。本当に周りの方々のサポートに支えられていましたね」

いろいろな人に支えてもらいながら勉強を続けていたら、「今日はうまく会話できたな」と納得できる日が多くなり、3年生のときには成績優良者にも選ばれました。

上田 「あらためて考えると、インターナショナルスクールでは楽しい日々ばかりではなく、ツラいことも多かったし、『こんなの終わらせられない』と思う大変な課題もいっぱいありました。

でも自分の選択を信頼して、いつでもサポートしてくれる環境に身を移せたことで、モチベーションを保てたし、 “自主性を持って自分らしくいられる”高校生活を過ごすことができました」

英語という大きな壁を乗り越えることができた上田は、高校生活をのびのびと過ごし、卒業します。親や周りの人に取ると宣言した高卒認定試験にも無事、合格することができました。

高校を卒業し、大学生活では上田にとって忘れない大切な経験をすることになります。

彼が出会ったものとは――

大学時代、被災地での取材活動の経験から学んだこと

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▲閖上での取材活動は合計8回にわたった(写真中央が上田)

 

上田は大学2年の2013年から、東日本大震災の被災地で、取材活動に参加しました。これは教授と同じ学部の学生を中心にはじめたプロジェクトで、人それぞれ活動するエリアが違いました。上田は宮城県名取市にある閖上という地域で取材やボランティアをすることになります。

上田 「僕は閖上で被災した方々に取材をし、『東北からの声』というサイトで被災した方々の声を届けることをメインに活動していました。

取材をして文字におこす――そこから学ぶことも多くありました。

被災した方々に取材をして印象に残ったことは、多くの方々が苦しみに負けず前向きに頑張ろうとしている姿。なかなか東京でニュースを見ているだけでは分からなかった、被災地の新たな一面を自分の目で確かめることができたと思います。とても貴重な経験をさせてもらいました」

「閖上での活動経験が大学生活で一番思い出深い」と語る上田は、この活動を通して被災した方はもちろん、個人や団体でボランティアに来てる方々との多くの出会いがありました。

しかし何度も足を運び被災した方と仲良くなるにつれ、すべてのボランティアが嬉しいわけではなく、「好意が逆に仕事を増やすこともあるんだ」といった声も耳にするようになります。

上田 「ボランティアを通じて、自分が良かれと思ってやったことでも、相手が本当に求めていることではないこともあるんだなと痛感しました。たとえば、津波で何もなくなってしまった場所にお花を植えるボランティアがあったとします。しかし、その方たちは花を植えて帰ってします。結局、その花は現地の人々が世話をすることになるので、負担になってしまう。

私はこれに似た光景に何度か遭遇し、ボランティアにおいて何が大切なのかを考えました。その結果、ひとつの答えにたどり着いたんです。

一番大切なのは自分だけの好意で何かをするのではなく、相手の気持ちに寄り添うこと。受け取った後も相手の方がどう感じるかをよく考えるようになりました」

「東北ボランティアの経験を経て多くのことを学ぶことができ、この経験が今でも活きている」と上田は話します。

その後、大学4年の時に海外へ1年間留学し、帰国後就活に焦っていた頃、別の大学の友達から「インターンをやらないか?」と誘われます。

その企業こそ、新卒で入社することになったパルスボッツでした。

「今までやってきたアルバイトとは何か違う」好奇心が尽きない仕事

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▲ロボットの会話をメインにつくっていたので、2018年現在も家にヒト型ロボットがいる

上田 「友達からパルスボッツのインターンの誘いを受け、ふたつ返事ですぐにやると答えました。なんか面白そうなことをやっているし、ものすごく興味が湧いたんです」

上田はインターンをする前、居酒屋やカフェで接客をしたり、英語系の記事を書いたりもしていました。しかし、パルスボッツでインターンをはじめて、今までやってきたアルバイトとは何か違うと感じます。

それは、自分らしく仕事ができる環境だということでした。高校生のときに “自主性を持って自分らしく”生きていくと決めた、それを尊重してもらえる会社だとインターンをしている中で上田は思いました。

上田 「インターンではロボット会話の基盤づくりに参加していましたが、前例のないものをつくる楽しさと喜びがあり、とてもやりがいを感じました。正社員にならないかとお誘いをいただいたときは、『もちろん』と即答でした!」

パルスボッツ入社後はロボットの会話やシナリオ作成、海外他社のリサーチ、翻訳などの仕事を経験します。実は、上田はパルスボッツ創業以来、初のメンバーでした。

入社して1年経った2018年現在、上田が思うこととは――

ボランティアの経験を経た先に――ロボットを使って今後やりたいこと

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▲パルスボッツ入社後、初めて撮ったメンバーとの集合写真

上田 「パルスボッツに入った当初は経験値も低く、ミスをしてしまうこともありました。入社 1年経った今は、メンバーも少ないことからこの 1年で多くのことを経験できたので、慌てず仕事に取り組めるようになってこれたかな、と思います」

やりがいがある分、責任感も多くありますが、上田は仕事が楽しいと話します。新卒で入った2017年に比べ、今では少し余裕も出てきました。

上田 「新卒で初めて入った会社がパルスボッツなので比べようがないですが、とても変わっている会社だと思います。煮詰まったときに各々コンビニに行ってお菓子と飲み物を買って、それを机にバーっと広げてミーティングしたり(笑)。後は年齢や立場に関係なく、みんなが言いたいことを言い合っている環境は本当にいいと思います。

お酒好きが多いので、メンバー同士でよく飲みに行くことも。定例会の後にメンバー全員で飲みに行き、近すぎず遠すぎずベストな距離を保てるようにしています」

そんな上田にとって働きやすく、“自主性を持って自分らしく”いられる会社で今後やりたいこととは――

上田 「ロボットをきっかけに人がつながる社会をつくっていきたいです。ロボット同士が先に友達になり、そこから人間も友達になったり、同じ趣味を持つ人を紹介してもらえたり。

実現されたら面白いですよね。そんな未来づくりに貢献したいです。

また、東北の取材で仮設住宅に閉じこもってしまっている方々についての話も頻繁に耳にすることがありました。ロボットがあることによって、人の孤独を少しでも減らすことができればいいなと思います」

“自主性を持って自分らしく”生きることができるこの環境で、上田の挑戦は続きます。

掲載サイト:https://www.pr-table.com/palsbots/stories/1171